13 かさぶた
「うあ、痒いですぅぅぅぅっ!!」
耐え切れずに思わず叫んでいました。
あ、ゼルガディスさんがびっくりしたように私を見ています。
「なんなんだ、お前は」
「ほらぁぁ!ここ見てくださいよぅぅぅっっ!!」
私は右手で、左ひじを指差しました。
丁度傷が治りかけて、かさぶたになっています。
「…だからなんだ」
「かさぶたが出来ている時期が一番痒いんですッッ!!あああ、掻きたい〜ッッ!いっそ、掻き毟ってしまいたい!!」
ゼルガディスさんがはぁ、とため息を吐きました。
あうぅぅぅっ!他人事だからって馬鹿にして!
本当に痒いんですよ!ああ、もう我慢できない!!
誰か、どうにかしてくださいよぅぅぅぅっっ!!
「…知っているか?痒い場合は他の事に気をそらしてしまえば、気にならなくなる」
「ううう〜、そう言ってもこの痒さ以上の気をそらせるようなものなんて、ないですよぅぅぅっっ!!」
「なら、これならどうだ?」
そう言って、ゼルガディスさんはぎゅううううううっっ!!と、私を抱き締めました。
ぼぼぼぼっっ、と音を立てて、顔が沸騰するのがわかります。
ゼルガディスさんの体温がぁぁぁっっ!いや、岩だから冷たいんですよ!でも、それ以上にゼルガディスさん、っていう匂いとかそういうものが私をぎゅううううっっって包み込むんですッッ!
ゆっくりゆっくりと回された腕が外れて、くしゅくしゅと髪の毛をぐじゃぐじゃにされました。
「これで、痒いのが気にならなくなっただろう?」
むぅ…。
確かに、気にならなくなりましたけど…思い出すとまた痒くなってきますぅぅぅっっ!!
「これではキリがありません!やっぱり、いっそ掻き毟ってしまったほうが…っっ」
そう言うと、ゼルガディスさんは顔をゆがめました。
ほえ、私、なにかまずいことでも言ったでしょうか?
「傷が残る」
「え?でも、気にしませんよ」
「俺が気にする」
「そうですかぁ?だってゼルガディスさん、ガーヴ戦のときに私を庇って傷つけた痕残っているじゃないですか」
「俺はいいんだ」
うーん、要領を得ませんね。
どうも、ゼルガディスさんの言いたい真意というものがつかめません。
「結局どうゆうことなんですか?」
ゼルガディスさんは仄かに頬を紫色にしてぽりぽりと掻きました。
ううーん。なんで、照れているんでしょうか?
「つ、つまりだな…」
「あ、盗賊ですっっ!盗賊なんてあこぎな真似をしないで正義の道を走りなさーい!!」
私はそう叫ぶと、高いところによじ登るために木の元へ走り去りました。
あ、で結局なんだったんでしょう?
「お前の肌に傷が残っているのが気に食わないだけだ」
>>20050817
ちょっとした気持ち。
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